介護保険制度を知る

はじめに

高齢社会から超高齢社会に向かう我が国において、誰もが直面する介護の問題を、社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が生まれました。

高齢化の進行とともに、加齢に起因する病気等により、要介護者が増大し続け、これまでのシステムでは介護問題に適切な対応ができなくなっています。誰もが介護を要する状態となっても、出来る限り、自宅で自立した日常生活を営めるように、介護サービスを総合的・一体的に提供する、利用者にとって利用しやすい仕組みをつくろうとするものです。

介護問題は、切実なものとして誰にでも起こり得ることがらであり、自己責任の原則と社会的連帯の精神にもとづき、40歳以上の全国民で平等に制度を支える仕組みとなっています。

 

 

介護保険制度の概要

 

介護保険制度の成り立ち

高齢者介護に関する今までの制度においては、

  1. 福祉サービスについては、行政がサービスの種類、提供機関を決めるため、利用者がサービスの選択を自由に行えない
  2. 老人福祉と老人医療に分立しており、利用手続きや利用者負担が不均衡であり、総合的なサービス利用ができない
  3. 介護を主たる目的とする一般病院への長期入院(いわゆる社会的入院)等、医療サービスが非効率に利用されている

などの問題が生じています。

介護保険制度は、現在の老人福祉と老人医療の制度を再編成し、福祉も医療も同様の利用手続き、利用者負担で、利用者の選択により総合的に利用できる利用者本位の仕組みとするものです。

また、高齢化の進行に伴い社会保障関係の費用が増大していく中で、社会保障制度全体を効率的な制度に改革していく必要がありますが、介護保険制度は、次のような点で社会保障構造改革の第一歩と位置付けられています。

  1. 介護を医療から切り離すとともに、医療については、治療という目的にふさわしい制度として、医療提供体制を含む総合的かつ根本的な医療制度の改革を実施する前提をつくること
  2. 民間事業者や非営利組織等の多様な供給主体の参入により、サービスの質の向上、費用の効率化を図るとともに、保険の対象となるサービスとそれ以外のサービスとの組み合わせを弾力的に認め、多様な需要については民間保険等の活用を図ること
  3. 高齢者自身を被保険者と位置づけ、無理のない範囲で保険料や利用料の負担をもとめること

 

高齢社会は待ったなし!

我が国の高齢化は、世界に例のない速さで進み、2025年には、65歳以上のお年寄りの総人口に占める割合が25%以上となる超高齢社会を迎えます。

※超高齢社会は高齢化率21%以上

 

介護ニーズの増加と社会問題!
  1. 寝たきりなどの介護を必要とする人の急増
  2. 寝たきりの長期化と介護する人の高齢化
  3. 介護する人の大多数が女性

こうした介護ニーズの増加と介護する人、家族の心身に及ぶ非常に重い負担に対して、現在の社会保障制度では充分な対応が出来なくなっています。

 

新しい社会保障制度としてスタート!

しかし一方で、長引く不況と低成長の時代を迎え、高齢者対策、年金、医療、失業問題など社会保障へのニーズは高まるばかりです。

財源不足が叫ばれる中、介護保険制度は、待ったなしの迫った高齢社会への対応として、新しく生まれた社会保険制度です。

 

 

介護保険の目的

 介護保険は、介護や社会的支援が必要な人が、尊厳を保持し、その能力に応じ自立した日常生活を営むことが出来るように、必要な保健医療サービスと福祉サービスを行う事を目的としています。

サービス(保険給付)は次のような観点から設定されています。

  1. 要介護状態または要支援状態の軽減や悪化の防止、要介護状態の予防に役立つように、また、医療との連携に十分配慮して提供されること。
  2. 心身の状況や環境等に応じ、利用者の選択にもとづいて、適切な保健医療サービスと福祉サービスが、多様な事業者・施設から総合的効率的に提供されること。
  3. サービスの内容と水準は、出来る限り、自宅で能力に応じ自立した日常生活を営めるように配慮すること。

 

介護サービスの原則

介護サービスは、加齢による病気等で介護や日常生活の支援が必要となった人について、その人が持つ心身の機能を活かし自立した日常生活を営めるように、医療と福祉の両面から総合的・一体的に提供されます。サービスの提供は、介護が必要な状態の軽減と悪化の防止、介護が必要になってしまうことの予防という観点から行われ、医療との連携が重視されています。

介護や日常生活の支援が必要な人は、心身の状況や生活環境に応じて自ら選択したサービスを多様な事業者や施設から総合的・効率的に受けます。サービスの内容や水準は、出来る限り自分の住まいで、能力に応じた自立した生活ができるように配慮することとされています。

 

国民の努力と義務

国民は、介護が必要な状態となることを予防するために進んでリハビリテーション、その他保健医療福祉サービスを利用し、健康の保持促進に努めるとともに、介護が必要な状態となった場合には介護サービスを利用して、自立した生活の為、能力を維持し、向上させるようにします。

また、介護保険が国民共通の問題を社会全体で解決していく仕組みであることから、共同連帯の理念に基づき、国民は費用を公平に負担する義務を負っています。

 

 

サービスの種類

訪問サービス

訪問介護

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

 

通所サービス

通所介護(デイサービス)

通所リハビリテーションデイケア

 

短期入所サービス

短期入所生活介護ショートステイ

短期入所療養介護(医療型ショートステイ

 

施設サービス

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:特養)

介護老人保健施設(老健

介護療養型医療施設(療養病床)

 

地域密着型サービス

地域密着型通所介護(小規模デイサービス)

小規模多機能型居宅介護

夜間対応型訪問介護

認知症対応型通所介護

認知症対応型共同生活介護グループホーム

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護

 

その他

特定施設入居者生活介護

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

住宅改修

 

 

介護保険制度といった観点からは若干違うのかもしれませんが、上記以外にも

など、非常にたくさんのサービスがあります。

それぞれがどのようなサービスなのか、また、自分たちが使えるサービス、使うべきサービスはどれなのかを担当のケアマネジャーと相談し、最適なサービスを利用していきましょう。