介護保険のサービス
前回の記事では、介護保険の制度について書いてみました。
今回は、前回の終わりに挙げたサービスの種類について紹介していきます。
介護保険のサービス
在宅サービス
訪問介護
介護福祉士やホームヘルパー等の訪問介護員が、利用者の自宅を訪問して、入浴・排泄・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談・助言等の必要な日常生活上の世話を行うものです。
訪問入浴介護
利用者の自宅を入浴者等で訪問し、浴槽を家庭に持ち込んで入浴の介護を行い、利用者の身体の清潔保持と心身機能の維持等を図るものです。
サービスの提供は、訪問入浴介護事業所の看護職員1人と介護職員2人の計3人による提供を基本としています。
訪問看護
訪問看護ステーションや病院・診療所の看護師等が、利用者の自宅を訪問して、療養上の世話や必要なしんりょうの補助を行うものです。
対象者は、病状が安定期にあり、訪問看護が必要であると主治医が認めた要介護者や要支援者です。
ただし、同居親族に対する提供は行われません。
サービスは主治医との密接な連携により、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士が行います。
訪問リハビリテーション
病院・診療所または介護老人保健施設の理学療法士・作業療法士が、計画的な医学的管理を行っている医師の指示にもとづき、利用者の自宅を訪問して、心身の機能の維持回復を図り日常生活の自立を助けるために、理学療法・作業療法等の必要なリハビリテーションを行うものです。
対象者は、病状が安定期にあり、診療にもとづき実施される計画的な医学的管理の下、自宅でのリハビリテーションが必要であると主治医が認めた要介護者・要支援者です。
居宅療養管理指導
病院・診療所・薬局の医師などが、通院困難な要介護者等の自宅を訪問して、療養上の管理及び指導を行うものです。
サービス内容に応じて
①医師、歯科医師
②薬剤師
③管理栄養士
④歯科衛生士(保健師、看護師、准看護師)
が担当します。
他の訪問サービスと異なり、医師等の判断にもとづき行われるため、居宅サービス計画での位置付け(支給限度管理)の対象とはならず、また認知症対応型共同生活介護や特定施設入所者生活介護を受けている人も対象とします。
通所介護
老人デイサービスセンター等が在宅の要介護者・要支援者に通ってもらい(送迎し)、入浴・食事の提供とその介護、生活等についての相談・助言、健康状態の確認等の日常生活の世話と機能訓練を行うものです。
介護や日常生活の世話は看護職員・介護職員や生活相談員が、機能訓練は機能訓練指導員が中心となって担当します。
通所リハビリテーション
老人保健施設や病院・診療所が在宅の要介護者・要支援者に通ってもらい(送迎し)、理学療法士・作業療法士等の必要なリハビリテーションを行うものです。
対象者は、病状が安定期にあり、診療にもとづき実施される計画的な医学的管理の下、通所によるリハビリテーションが必要であると主治医が認めた要介護者・要支援者です。
サービスは、医師の指示により、施設や医療機関の理学療法士・作業療法士等が行います。
短期入所生活介護
老人短期入所施設や特別養護老人ホーム等が、在宅の要介護者・要支援者に対し短期間の入所、入浴・排泄・食事等の介護等の日常生活上の世話や機能訓練を提供するものです。※ユニットケアを行うものを含む
対象者は、心身の状況や、家族の病気・冠婚葬祭・出張等のため、または家族の身体的・精神的な負担の軽減を図るために、一時的に在宅での日常生活に支障がある要介護者等です。
提供の開始に際しては、サービスの内容とともに利用期間等について利用申込者の同意を得ます。※書面による確認が望ましいとされています
短期入所療養介護
介護老人保健施設や療養病床のある病院・診療所が、在宅の要介護者・要支援者に短期間入所してもらい、看護・医学的管理下の介護、機能訓練等の必要な医療や日常生活の世話を行うものです。
対象者は、病状が安定期にあり短期入所療養介護を必要としている要介護者等です。
サービスは、利用者の心身の状況や、家族の病気・冠婚葬祭・出張等のため、または家族の身体的・精神的な負担の軽減を図るために、一時的に入所が必要な場合にします。
提供の開始に際しては、サービスの内容とともに利用期間等について利用申込者の同意を得ます。※書面による確認が望ましいとされています
特定施設入居者生活介護
有料老人ホームや軽費老人ホームが、入居者である要介護者・要支援者に対して、特定施設サービス計画にもとづき、入浴・排泄・食事等の介護、生活等に関する相談・助言等の日常生活上の世話や、機能訓練・療養上の世話を行います。
福祉用具貸与
心身の機能が低下し、日常生活を営むのに支障のある要介護者等の、日常生活の便宜を図るための福祉用具や、機能訓練のための福祉用具の貸し出しを行うものです。
地域密着型サービス
小規模多機能型居宅介護
中重度となっても住み慣れた自宅や地域において在宅生活を継続することを支える観点から、「通い」を中心として、利用者の様態や希望などに応じ、随時「訪問」や「泊り」を組み合わせて提供するサービス類型です。
1事業所当たり定員・・・25名以下
「通い」の1日当たり定員・・・概ね15名以下
「泊り」の1日当たり定員・・・概ね9名以下
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護については、夜間において、①定期巡回の訪問介護サービス、②利用者の求めに応じた随時の訪問介護サービス、③利用者の通報に応じ調整・対応するオペレーションサービスを組み合わせて提供するサービスです。
認知症対応型通所介護
従来の単独型通所介護、併設型通所介護に加え、認知症高齢者グループホーム等の共用スペースを活用して少人数(3名以下)を受け入れる累計を創設すると共に、単独型通所介護、併設型通所介護について定員が12名に拡大しています。
認知症対応型共同生活介護
認知症性老人グループホームにおいて、比較的安定状態にある認知症の要介護者に対して共同生活の中で認知症対応型共同生活介護計画にもとづき、入浴・排泄・食事等の介護等の日常生活上の世話や機能訓練を行うものです。
家庭的な環境で日常生活を送ることができるように、1事業所あたりの共同生活住居(定員5人以上9人以下)は1または2とされ(経過措置あり)、また、家族との連携や地域との交流の観点から、住宅地等に立地することが求められています。
地域密着型特定施設入居者生活介護
特定施設入居者生活介護の地域密着版で、規模は29名以下です。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護老人福祉施設入所者生活介護の地域密着版で、規模は29名以下です。
施設サービス
介護福祉施設
指定介護老人福祉施設(老人福祉法にもとづく特別養護老人ホーム)に入所した要介護者に対して
①入浴・排泄・食事等の介護等の日常生活の世話
②機能訓練
③健康管理
④療養上の世話
を行うものです。
これらのサービスは、施設に常勤の介護支援専門員が作成した施設サービス計画にもとづき行われます。
入所対象者は、身体上または精神上著しい障害があるため、常時介護を必要とし、在宅介護が困難な要介護者です。
施設では、可能な限り在宅の生活への復帰を念頭にサービスを提供し、在宅での日常生活が可能となったら、本人や家族の希望、退所後の環境等をふまえて、円滑な対処のための援助を行います。
介護老人保健施設
介護老人保健施設に入所した要介護者に対して、
①看護
②医学的管理下での介護
③機能訓練等の必要な医療
④日常生活の世話
を行うものです。
これらのサービスは、施設に常勤の介護支援専門員が作成した施設サービス計画書にもとづき行われます。
入所対象者は、病状が安定期にあり①~③のサービスを必要とする要介護者です。
施設では、在宅の生活への復帰を目指しサービスを提供し、在宅での生活ができるかを定期的に検討して記録します。
退所時には、本人や家族に適切な指導を行うとともに、居宅サービス計画作成のため、居宅介護支援事業者への情報提供に努めるほか、退所後の主治医との密接な連携に努めます。
介護療養型医療施設
病院・診療所の療養病床等の介護保険適用部分に入院した要介護者に対して、
①療養上の管理
②看護
③医学的管理下の介護等の世話
④機能訓練等の必要な医療
を行うものです。
サービスは施設に常勤の介護支援専門員が作成した施設サービス計画書にもとづき行われます。
入院の対象者は、病状が安定期にある長期療養患者であって、①~④のサービスを必要とする要介護者です。
医師は、医学的に入院の必要性がないと判断した場合には退所を指示し、本人や家族に適切な指導を行うとともに、退院後の主治医や居宅介護支援事業所等との密接な連携に努めます。
サービスが使える対象者
介護保険のサービスを受けるには、認定を受けた被保険者であることが必要です。
第1号被保険者
介護保険の第1号被保険者とは、市町村の住民のうち65歳以上の人です。
第1号被保険者は、各市町村ごとの所得段階別の定額保険料を年金天引き等により納めます。
そして、日常生活において常に介護を要する寝たきりや認知症の状態(要介護者)や、日常生活を営むのに支障がある虚弱の状態(要支援者)になったときには、市町村の認定を経て介護保険のサービスが受けられます。
第2号被保険者
介護保険の第2号被保険者とは、市町村の住民のうち、40歳以上65歳未満の医療保険加入者(被保険者、組合員等、被扶養者)です。
第2号被保険者は、介護保険料を市町村に対して直接負担することはありません。
各医療保険者が全国平均の負担額にもとづき医療保険料として徴収し、一括して納付します。
そして、初老期認知症や脳血管疾患等の老化による病気が原因で要介護者・要支援者となったときに限り、認定を経て住所地の市町村の介護保険サービスが受けられます。
また、該当者として16の特定疾病を持った方が対象になります。
※要介護認定対象疾患(特定疾患)(40歳から64歳までの方)
①末期の癌(医師が一般に認められている所見にもとづき回復の見込みがない状態に至ったと判断した場合)
②関節リウマチ
③筋委縮性側索硬化症
④後縦靭帯硬化症
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥初老期における認知症(アルツハイマー病、ピック病、脳血管性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病等)
⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症
⑩早老症
⑪多系統萎縮症(線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症)
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)
⑭閉塞性動脈硬化症
⑮慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎)
⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症